第35回異文化間教育学会研修会のお知らせ

テーマ「多様性理解に資する人権教育・啓発とは:東京都人権プラザの取組みから」

東京都人権プラザを会場に、学校や地域社会等における多様性理解の促進や人権啓発の方法について考える研修会を実施します。施設内の展示物の見学、車いすの試乗、ボッチャの体験、専門員による説明、ディスカッションを通じて、多様性理解に資する人権教育や人権啓発の課題と展望について学びます。

東京都人権プラザの取り組みを参考に、異文化間教育の実践のあり方について一緒に考えてみませんか。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

東京都人権プラザは、東京都が設置した人権啓発のための拠点施設で、公益財団法人東京都人権啓発センターが指定管理者として管理運営しています。人権について楽しく体験して学べる展示室、セミナールームや図書資料室などがあり、日常的に人権に関する相談も受け付けています(https://www.tokyo-hrp.jp/about.html)。

日時

令和7年3月1日(土)13時00分~16時00分

会場

東京都人権プラザ セミナールーム(港区芝2-5-6 芝256スクエアビル1F)

https://www.tokyo-hrp.jp/access-main.html

講師

東京都人権プラザ専門員:林勝一、吉田加奈子、田村鮎美(敬称略)

内容

(1)東京都人権プラザの専門員による説明(45分)
・人権プラザがなぜ設立されたのか
・人権プラザの新たな取組み
・多様性理解に資する人権教育・啓発とは

(2)体験学習(60分)
・展示見学
・学習プログラムの体験(車いす試乗、ボッチャ体験など)

<休憩>15分

(3)ディスカッション(60分)
・(1)(2)を踏まえての論点整理と質疑応答

定員

先着30名

参加費

無料

申し込み方法と期限

以下のGoogle form で、2025年2月20日までに申し込みください。

https://forms.gle/7BKV44DJyenL5zuk6

※ 1月31日(金)までは異文化間教育学会の会員の方を優先いたします。

問い合わせ先

企画委員会(髙松美能) mino.takamatsu.c3[at]Tohoku.ac.jp ([at]を@に変更してください)

主催

異文化間教育学会企画委員会

工藤和宏(獨協大学)、松尾知明(法政大学)、髙松美能(東北大学)、青木香代子(茨城大学)、芝野淳一(中京大学)

報告
研修テーマ「多様性理解に資する人権教育・啓発とは:東京都人権プラザの取組みから」

企画委員会

 2025年3月1日(土)13:00〜16:00に、東京都人権プラザのセミナールームにて第35回異文化間教育学会研修会が開催された。これは、学校や地域社会等における多様性理解の促進や人権啓発の方法について考えることを目的に実施された。施設内の展示物の見学、車いすの試乗、ボッチャの体験、専門員による説明、ディスカッションを通じて、多様性理解に資する人権教育や人権啓発の課題と展望について参加者同士が学び合った。企画委員3名含む10名が参加した。

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まず東京都人権プラザの専門員により、①人権プラザ設立の経緯、②人権プラザの新たな取組み、③多様性理解に資する人権教育・啓発の在り方についての講義があった。次に、展示見学や学習プログラムの体験(車いす試乗、ボッチャ体験など)を行った。その後のディスカッションでは、はじめに参加者全員が自己紹介を行い、前半の説明と体験を踏まえて、人権プラザの取り組みや参加者が授業を実践するうえでの課題、人権啓発のための今後の展開についての意見が交わされた。終了時間を過ぎても多くの質問や意見が出され、参加者の多文化共生や人権に対する意識・興味の高さがうかがえた。

人権プラザの専門員からの講義

人権プラザ施設内見学

ボッチャ体験

車いす試乗

ディスカッション

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研修会後の参加者のアンケート記述には、以下のような感想が挙げられた。

「車椅子の体験ができて良かったです。また、人権問題から考えるよりも、先に人権について知ることが大事という、はたらきかけの現状を知ることができて良かったです。」

「私自身、これまでに受けた教育では部落差別はじめ人権について考える機会が恥ずかしながらほとんどありませんでした。その為東京にも人権プラザのような施設があり、多様な取り組みが行われていることを知れたことが何よりも大きく、ぜひ今後の授業などでも学生さんに積極的に紹介したいと思いました。車いすやボッチャを体験できたことも、新たな視点から社会を見て考える経験となり、やはりシミュレーションやゲームなど、体験して学ぶ機会がもたらす効果の大きさを実感しました。『人権』というと固い・難しい、というイメージが抱かれたり、逆に自身は人権侵害を受ける/受けているはずがない、と遠いもののように考えられてしまいがちだからこそ、それらを身近なこととして気づき、考えていけるようなアプローチを考えていきたいと思いました。」

「研修会を通して人権教育のあり方をみんなで考えていくという活動がとても印象的でした。特に、人権教育という言葉に縛られがちな考えを教育の場を授業のみに限定するのではなく子どもとの日常的な会話も教育に含まれると捉えることによってより子どもたちが権利を行使する主体として育っていくことにつながるというヒントを得られたことは今後の人生に大きく役立つと感じました。」

国際連合による人権教育の指針によると、人権を知識として学ぶだけではなく、人権を柱にスキルや態度を身に着けていくことが重要であるとされている。今回の研修会は、この指針に沿い、人権教育の発展経緯や人権プラザにおける具体的な実践を踏まえて行われた。このような手法は、異文化間教育の実践的な手法を検討するうえでも参考になるものであった。

最後に、ご多用中のところ研修会の企画・運営を行ってくださった東京都人権プラザ専門員のみなさまに、心より感謝を申し上げる。

文責:企画委員 髙松美能(東北大学)