プレセミナー

「オートエスノグラフィーで自文化を描く」

■企画主旨

 本セミナーは、オートエスノグラフィーの理論への理解を深める座学形式と、それを基に実際に自分自身の経験を考察するワークショップ形式の両方で行われます。オートエスノグラフィーとは、端的に言えば、研究者自身やその周囲の人々に対するエスノグラフィーです。オートエスノグラフィーの実践は、他者(=「異文化」を有する人)と関わりながら発達していく存在としての私をどのように理解するのか、そこに「自文化」がどのように関わっていくのかを深く問い直す契機となります。本セミナーでは、このようなオートエスノグラフィーの価値を強調しつつ、このアプローチを①研究方法論、②日々の実践のリフレクション、③対話的な教育方法として用いるための基本的な考え方や、留意すべき点、倫理の考え方にも触れていきたいと思います。
 オートエスノグラフィーには、研究者自身が経験した出来事(auto)を、人びとや文化に対する理解(ethno)に結びつけながら、特定の理論的・方法論的志向のもとで記述する(graphy)という特徴があります。言い換えれば、単に研究者自身の経験を振り返る(reflection)だけでなく、理論や他者の声との対話を通して熟考すること(deliberation)が求められます。ただし、オートエスノグラフィーの実践には「そもそもどう取りかかればいいのか」「自分自身の経験との距離が取れない」「終わりがないプロセスのように思える」などの困難さも伴います。このような困難さとどのように向き合うのかについても、参加者間の交流や、実際の研究過程を紹介する中で議論を深めていきます。
 本セミナーは、「オートエスノグラフィー」「自己」「文化」などについて深く考えてみたいという方であれば、誰でも参加歓迎です。予備知識、専門性、ディシプリン等は問いませんが、普段より少しオープンに(ただし倫理的に)、他者と対話する姿勢で臨んでください。誰もが個人的なナラティヴを通して、民主的な関係で対話できるのが、オートエスノグラフィー的な姿勢です。なお、以下の書籍の内容を中心に扱いますので、事前学習をご希望の方はご参照ください。

  • Gamsakhurdia, V. L. (2022) A Theory of Proculturation: Development of the self through intercultural communication. Springer.
  • 木戸彩恵・サトウタツヤ(編著)(2019)文化心理学:理論・各論・方法論. ちとせプレス.
  • 土元哲平(2022)転機におけるキャリア支援のオートエスノグラフィー. ナカニシヤ出版.
  • ヤーン・ヴァルシナー(2007/2013)新しい文化心理学の構築:〈心と社会〉の中の文化(サトウタツヤ, 監訳). 新曜社.
  • Valsiner, J. (2014). An Invitation to Cultural Psychology. SAGE.

■開催日時

2023年6月9日(金)13:00~17:00(受付開始12:30~)

■場所

明治大学 中野キャンパス6階クロスフィールドラウンジ

■講師

土元哲平氏(日本学術振興会・大阪大学)
アシスタント:大川ヘナン氏(大阪大学大学院・日本学術振興会)

■担当者

岸 磨貴子(明治大学)
二瓶知子氏(国際交流基金)
古屋憲章氏(山梨学院大学)

■参加条件

学会員のみ可

■募集人員

30名程度(定員になり次第、先着順にて締め切らせていただきます。)
人数に余裕がある場合のみ、当日参加を受け付けます。できるだけ事前の申し込みをお願い致します。
プレセミナーは定員に達したので申し込みを停止しました。キャンセル待ちの受付はございません。

■プレセミナー参加費

正会員・通信会員・維持会員
3,500円
学生会員
2,000円

■お申し込み方法

※申し込み締切:5月17日(水)
参加をご希望の方は、大会HP>参加/発表申込よりお申込みください。

■申込み問い合わせ先

異文化間教育学会第44回大会ヘルプデスク
e-mail:iesj-desk[at]bunken.co.jp([at]を @ に変えて下さい)

■プレセミナー問い合せ先

第44回大会準備委員会
e-mail:ibunka44[at]gmail.com([at]を @ に変えて下さい)