移民の子どもを支えるアクターたち
― 保見から考える地域協働のかたち―
1989年の出入国管理及び難民認定法の改正は、いうまでもなく、日本の移民の歴史を考える上で欠かせない出来事の一つである。これ以降、多くの日系人が来日するようになり、日本各地にはかれらが集住する地域がみられるようになった。そのうちの一つが愛知県豊田市にある保見団地である。
1970年代に郊外ニュータウンとして開発された保見団地にブラジル人をはじめとする日系南米人が多く暮らすようになったのは、1990年代のことである。日系南米人が増加し始めた当初は、ゴミ問題や騒音問題などが浮上し、日本人住民との対立も多く確認された。また、日本語が話せない子どもたちの不就学や非行についても問題視された。その結果、保見団地にはネガティブなイメージが付与され、団地を忌避したり、奇異の目を向けたりする日本人も少なくなかった。 一方で、保見団地に関わる人たちや保見団地に暮らす人びとは、こうしたネガティブなイメージに抗いながら、移民やその子どもたちの生活を支えるための工夫を重ねてきた。特に、子どもの教育は移民家族の生活の安定や地域の安全のために重要であるとされ、継続的な支援が展開されてきた。そして、現在、保見団地では、さまざまな制度が整備されるようになり、多様なアクターがそれぞれの立場から移民の子どもの教育を支えている。
本シンポジウムでは、長年にわたり保見団地の子どもの教育に携わってきた方々をお招きし、NPO、ブラジル学校、日本の学校、大学、行政が連携しながら移民の子どもの教育支援をより充実させるための方策について考える。多様なアクターの協働は、保見団地に限らず他地域にも共通する重要な課題であり、異文化間教育学会においても繰り返し取り上げられてきたテーマである。本シンポジウムでは、保見を一つの事例として、協働の可能性と課題について議論したい。
非会員の皆様のご参加も歓迎いたします(参加費無料)。
【日時】
2026年6月21日(日)13:00~16:00
【場所】
中京大学名古屋キャンパス
【プログラム】
- 第1部
- パネリストからの話題提供
- 第2部
- パネルディスカッションと全体質疑・討論

