異文化間教育学会第41回大会報告

第41回大会準備委員長 阿部 祐子(国際教養大学)

 異文化間教育学会第41回大会をオンラインで開催した。当初は国際教養大学での開催を予定していたが、新型コロナウィルス蔓延のため、3月下旬に現地開催を中止し、日程は変更せずにオンライン開催へと変更することになった。特定課題・公開シンポジウムはZOOMウェビナー、プレセミナー・若手交流会・総会・情報交換会・緊急企画はZOOMミーティングによるテレビ会議(同期型)で行った。発表については、抄録の公開により成立とみなし、各発表に質問やコメントと回答(任意)を書き込むことで、発表者と参加者が非同期で交流可能な形にした。抄録は印刷せずに大会ホームページに公開し、参加者にダウンロードを依頼した。参加費については、発表者以外は無料とし、会員・非会員を問わず多くの方の参加を促した。その結果、546名(会員271名、非会員275名)という多くの参加申込者数となった。
 本大会は、開催形態の急な変更により混乱も生じたが、コロナ禍という異常事態の中で可能なことを前向きに検討し、今後の学会の新しい形態を考える上での一つのモデルにもなったのではないだろうか。海外を含め遠方からの参加、関心ある部分のみの気軽な参加が可能になったなどの肯定的な感想も多かった。今後の学会活動が、今以上に国内外を視野に入れて発展する機会となる可能性を感じた。また、ブレイクアウトルームやチャットの活用により、通常ではできない意見交換が容易にできたという感想もあった。発表形態も、会員のオンラインスキルに応じたさらなるレベルアップが期待できるだろう。ZOOMのアクセス方法については、動画やメールにより不慣れな参加者へのサポートに努めたが、資料のダウンロードやアクセスの問題、オンライン環境についてのトラブルもみられた。日本社会におけるICTリテラシーは、この数か月間で飛躍的に向上しつつあると感じるが、不慣れな人も排除しない方法にも留意する必要があろう。
 以上、今回は「オンラインでもできる」大会であったが、今後は「オンラインだからこそできる」ことを積極的に取り入れ、対面と並行した形での新たな可能性について皆さんと検討していきたい。
 最後に、本大会開催にあたり、国際教養大学、国際文献社、異文化間教育学会事務局の方々から多大なご支援をいただきました。特に事務局の方々には、抄録のオンライン化、発表の非同期型交流、大会直前の動画資料や案内など、きめ細やかなご支援をいただきました。準備委員会一同、この場を借りて心より御礼申し上げます。