混迷の時代を生きる私たちに異文化間教育学が問いかけるもの
塘 利枝子 (同志社女子大学)
2025年夏
「『異』をつなぎ、『異』を可能性に」という異文化間教育学会のホームページに載っているフレーズの難しさと重要さを実感しています。異文化間教育学会は1981年に設立され、今年で44年目を迎え、大会としては46回大会となりました。この44年の間にも世界は様々な危機を経験し、現在ではその危機感はより一層強くなってきました。世界はどうなるのか、どこに行こうとしているのか、そのような混迷の時代を私たちは生きています。
その中で異文化間教育学は私たちに何を問いかけているのでしょうか。「本当に異なるものをつなぐことができるのか」「異なることが平和や協働をもたらすのか」 私たちに突きつけられたこのような問いに対して、すぐに答えが出ないかもしれません。しかし諦めずに対話を続け、覚悟を持って「異なるもの」に少しずつ歩み寄るために前に進むほかありません。異なるものの「間」には何があるのでしょうか。皆さんと一緒に探していきたいと思います。
2025~26学会年度の重点活動方針として、以下の3点を掲げます。
第一に、多様性の協働を重視していきます。学問領域、研究・実践歴、国籍などにおいて多様な会員が集う本学会の特徴を引き継ぎ、有機的な交流を促進し協働をはかりたいと考えています。そして特に会員同士の交流や対話の活性化を、ネットワーキング委員会や広報・ICT委員会を中心に会員同士の協働を促したいと思います。
第二に、今までの学会の歴史を継承するとともに、新たな歴史を拓いていきます。今まで蓄積してきた知を引継ぎ、さらに現代的な課題に応えるべく、学会誌編集委員会、研究委員会、企画委員会を中心に、新たな研究・実践課題や領域にも積極的に取り組みたいと考えています。そして大会での発表や論文投稿をよりいっそう促進するために、学会賞選考委員会を常設委員会としました。
第三に、国境を越えた研究・実践の推進です。問題意識や研究テーマを共有する研究者や学会と国・地域を越えて交流し、グローバル展開委員会を中心に、海外との研究成果の相互発信・協働を目指します。国際学会に参加する会員の発表や海外雑誌論文への投稿を促進したいと考えています。また定例の大会での国際化を進めていきます。
異文化間教育学会の中での対話がより活発になっていきますよう、そしてより居心地の良い学会となりますよう、皆様の積極的な参加を期待しています。
歴代理事長
2025年~2026年度 塘 利枝子
2023年~2024年度 渋谷 真樹
2021年~2022年度 渋谷 真樹
2019年~2020年度 佐藤 郡衛
2017年~2018年度 佐藤 郡衛
2015年~2016年度 加賀美 常美代
2013年~2014年度 加賀美 常美代
2011年~2012年度 横田 雅弘
2009年~2010年度 横田 雅弘
2007年~2008年度 山田 礼子
2003年~2006年度 小島 勝
2001年~2002年度 佐藤 郡衛
1999年~2000年度 加藤 幸次
1993年~1998年度 江淵 一公
1990年~1992年度 星野 命
1981年~1992年度 小林 哲也
