複数の差異が交差するところ:移民の語りに着目して
研究委員会
テーマ概要
本特定課題研究では、複数の差異が交差するところに注目する。数々のカテゴリーを相互に関係し形成し合っているものとして捉え、人間経験の複雑さを分析するツールとして、インターセクショナリティという概念がある。インターセクショナリティとは、「交差する権力関係が、様々な社会にまたがる社会的関係や個人の日常的経験にどのように影響を及ぼすのかについて検討する概念」(コリンズ&ビルゲ, 2021, p.16)である。この概念を批判的に用いつつ、同一人物の中にある複数のアイデンティティズを丁寧に紐解き、差異が交差する地点で何が起きているのかを明らかにしていく。
本特定課題研究が研究対象とするのは、日本在住の移民である。エスニシティ、ジェンダー、年齢、在留資格や社会的地位の異なる人々が、日本人との関係性の中で、日本社会の中で移民であることをそれぞれに経験している。本特定課題研究では、研究者が移民の声を聴き取り、読み解くだけでなく、研究者自身が移民として声を発してもいる。研究者である当事者も、当事者と共にある研究者も登壇者に据えながら、複数の差異の交差に関する多声的な対話が立ち上がることを期待している。
インターセクショナリティという概念は、交差する権力関係を単に描写するにとどまらず、より包摂的で公正な社会に向けた問題解決を目指す意図をもって使用されてきた(コリンズ&ビルゲ, 2021, p.19)。本特定課題研究においても、抑圧や生きづらさ、抵抗や解放といった移民の体験の機微を掬い取りながら、異文化間教育の探究と実践を推し進めていきたい。
Collins, P. H., & Bilge, S.(2021)小原理乃訳,下地ローレンス吉孝監訳 『インターセクショナリティ』人文書院(原著 2020)
第2回公開研究会では、2025年12月の第1回公開研究会での議論を踏まえつつ、下記3つの話題を提供いたします。これをもとに、フロアの皆さんと共に事例を分析し、インターセクショナリティという概念の有効性や限界について検討していきたいと思います。
登壇者およびタイトル
- 吉岡(ヨシイ)ラファエラ(東京大学)
「トランスナショナルな移民女性のインターセクショナリティ研究 -在日ブラジル人女性の生涯学習経験に着目して-」 - 本間 桃里(同志社大学)
「非正規滞在であり、子どもであること -日本社会における包摂と排除- 」 - 杉原 由美(慶應義塾大学)・渡部 龍(慶應義塾大学 環境情報学部〈卒〉)・あなん にみしゃ(慶應義塾大学 SFC研究所)
「移民第二世代ミュージシャンのインターセクショナリティ探究 -音楽産業における異文化の商品化と消費への交渉/抵抗 -」
日時
2026年3月3日(火)10時~12時
開催方法(オンライン)
申し込みをいただいた方に開催日前日までにZoomリンクをお送りします。
申込方法
以下のGoogle Formへの入力をお願いします。 3月1日(日)23:59までにお申し込みください。
※本研究会の参加は、異文化間教育学会の会員に限定いたします。予めご了承ください。
お問い合わせ
異文化間教育学会研究委員会
iesj.research.2025@gmail.com
